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ICT教育とお金の使いどころについて

教育にもICTの波が来ている。

政府は、2020年には公教育においてタブレット端末を1人1台にするという方針も示しているし、自治体はそれを受けて、どういった形でICTを導入していくか模索しているという話をきく。(ただし、今の文科省の環境整備計画だと、生徒3.6人に1台が目標なので、乖離しているが)

ICT教育のビッグイベントである教育ITソリューション EXPOも年々大きくなっている。

なにより、ICT教育という言葉自体が普及している。

 

個人的には、大学生のときに開始したApple社のiTunes Uに感動して、オンライン教育の可能性について思いをはせた身なので、ICT教育がさかんになるのはとても嬉しいし、将来的にもすごく重要だと思う。

しかし、ICT教育にお金をつかうという意味では、3つ注意した方がよい点があると感じている。

 

何の課題を解決するために、何を目的としてサービスを導入するか

② いれっぱなしではなく、中長期的な青写真も設計する(これまでの反省を生かし)

③ 機器やサービスの進化速度スピードがとても速いことを認識した導入計画を立てる

 

①について。ICTツールを入れる意義 としては大きく4つに分けてみた。

(なお、ソフト導入の前段階にはハード・インフラ整備が当然ありますが、どれにも必要なので前提条件として省略。)

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1つ目は校務管理。先生が名簿とか成績表をPCに入力して一元管理されている。会社勤めの身としては、割と普通のことですが、学校の先生は1人1台のPCを割り当てられているわけではないので、これもまだまだ道半ば。(2019年3月には1人1台のPCは準備される予定)これで先生の仕事が楽になるなら早く導入してほしい。

 

2つ目は協働学習(アクティブラーニングツール)として使うソフト。家で行った課題をタブレットからそのまま先生に送ったり、授業でコメントしたことを皆でリアルタイムで確認したりすることが出来る。これまで一部の生徒しか発表できなかった全員の意見をうまく取り入れるのが難しかったりしたのがソフトを利用することで、授業の質が向上する。ただし、なんとなく小学校の先生は、すでに協働学習をお行った授業をしているので、ICTツールの恩恵をうけるのは、どちらかというと高等教育ー高校や大学かもしれない。

 

3つ目は、英会話や21世紀スキルなどのためのソフト。プログラミングも大別した場合はここのカテゴリ。これまで教えてきた科目以外の内容を教える必要が出て来た時に、学校にいる先生だけでは負担が大きい場合に導入。今、Youtubeにはたくさんの先生が動画をアップしているが、自分では教えられない・教えにくいものをICTを使ってより質の高い、負担の少ない形で教えるのはとても大切だと思う。

 

4つ目は、個別学習(アダプティブラーニングツール)として使うソフト。最近は生徒の学力の二極化がどこの自治体でも問題になっており、一斉授業だけで対応する限界が唱えられている。先生方は少人数クラスの編成や、放課後や長期休暇補習などで対応されようとしていますが、正直負担が増えるばかりではよろしくない。

そこで、一人一人学んだ内容をまずログとして残し、進度や理解度を確認できるようにする。その後、一人一人によりそった学習内容を提示し、学習効率を上げる、学習意欲を上げることができるはず。

 

以上4点で、どのICTサービスを入れた方がよいか?というのは本当に各自治体の目的それぞれだ。が、自分判断では下記かなと思う。基準として、「ただの人の替わりではなく、ICTの強みを生かしてるか」一般企業で似たようなICTツールを使っていて本当に役立っているか(学校よりもIT化が進んでいると仮定した)」を考えた。

 

校務管理については、ミニマムマストでよいのでとにかく導入する。一般企業の人事や経理が使っているソフトとそれほど変わらなくてよいのではと思う。データ一元化していないことの悲惨さは深刻なので、絶対入れた方がよい。しかも早期に。

 

協働学習は、今のところやや優先度低いかなという気がしている。

理由としては、情報収集のところは確かによいのだけど、公教育ではすでに協働学習をしている中で、ICTによって授業の質がどれくらい向上するかがまだよく分かってない。

後、一般企業だと、違うオフィスにいる人とのリモート会議ツールとかはすごい便利だけど、同じ場所で会議しているときは、直接話すことが重要なので、むしろツールいらないのではと思ってしまう。

もちろん宿題に使うのは便利だと思うし、全員の意見を聞くという意味では有効そう。

いずれにせよ、使う先生のスキルが問われると思う。

 

英会話・21世紀スキル系は、人材難になりやすい過疎地域では導入してほしい。

日本は、全国各地に先生がきちんと配属されているという世界でも稀有なシステムが整っているが、将来的には都心の学校でも必要になると思う。

ひとを探してつれてくるコストを考えれば、新しい学びの場構築として重要。

 

個別学習は、個人的には一番ICTの強みを生かす分野で、今後必ず導入すべきだと思う。

まずは、ログデータの蓄積による学習内容の把握とモニタリングが出来るという意味で画期的。また、膨大な情報をいかに解析して、個別最適化していくか、もう一歩言えばディープランニングにより、その個別最適をどんどん進化させるかがICTの方向性だと思っている。今のビッグデータ解析が最も使いやすいのが個別学習。まだまだ個別最適出来ている(と明言できる)サービスはない。が、来る数年でものすごい進化するんのではと大変期待している。


と色々書いていて思うのが、デジタル教科書。デジタル教科書って①~④のどれにもあてはまらないんですよね。デジタル教科書の目的、意義付けってなんだろう。どんな課題を解決しているのか、いまいちわからない。

ICTの予算化する上で、どういった目的ですすめたいのか、そのために適したツールや教材は何かをよく考えてICTのかじ取りをするべきだ。

 

①が大分長くなってしまったので、最後に②③はさらっと。

 

②について。私が小学生の頃は、PCルームはたまーに行くいつもはひっそりと忘れ去られている部屋というイメージだったが、今もそういった学校は少なくない。PCなどのハードだけいれたけど、ネットが使えない、ソフトがない、ソフトがあっても使える人がいない、という理由で過去使われていなかった反省を伺う。なので、各自治体が、中長期的にどう使っていくか設計するのは重要だと思う。

が、そもそも①がしっかりしていれば、おのずと中長期計画も細部まで考えることになるはず。

 

③一方、スマートフォンを2年単位で買い替えたり、アプリがすごいはやさでアップグレードされたり、ICTの世界は移り変わりが早い。なので、③で書いたように「すごいスピードで変わる」ことを前提とした導入がのぞましいかなと思う。あんまりスピードにたけた自治体は少ないので。具体的な解決策としては、機器を2年リースにしてもらうとか。オンラインで常に更新できるサービスにするとかだろうか。

 

大きい買い物だからこそしっかり評価、検討を^^